先日、電車の中で友人と会話をする中で、面白い落し物を車中で拾ったというのです。その電車の中の拾得物は入れ歯です。友人はその後、入れ歯を改札の窓口に届けたそうですが、果たして入れ歯の落し物をした当の本人は、無くした入れ歯を探すのでしょうか?
その話を聞いた直後、どうして、入れ歯など落すのだろうかと、友人と電車の中で論議してみました。私自身、入れ歯を入れたことがないので、入れ歯を入れる人の気持ちが、全く分かりません。
ただ、異物が口の中にあるというのは、気持ちの良いものではなさそうですね。
統計的に入れ歯を作るといったら、おそらくは、落とし主は高齢者なのだろうと推測します。
お年寄りが、口から入れ歯を落す原因とは・・・、「乾燥」なのではないかと友人が口内乾燥を取り上げました。高齢者は、口内が乾燥しやすいそうです。入れ歯を落した原因としては、口内が乾燥してしまい、入れ歯が、口元から落ちてしまった。あり得ると言えばあり得る原因ですが、もう少し、現実的な根拠を推測したいところです。二人でスマホを使って高齢者の口内乾燥を調べていると、面白いデータをみつけました。唾液の分泌量が低下する高齢者が、噛み合せの適合した入れ歯を使用すること、刺激唾液の分泌量は、若者と同等となるというデータが出ているらしいです。これでは、電車の中で、口内乾燥が原因で、入れ歯を落す根拠には至りません。高齢者と唾液についてさらに掘り下げてみると、高齢者がよく服用している薬の副作用で、唾液の分泌の低下を招く症状があるそうです。これならば、噛み合せの適合した入れ歯を使用していたとしても、薬の副作用で口内が乾燥してしまい、午後の電車のぽかぽかとした日だまりの中、口呼吸をしながら居眠りをしてしまったお爺さんが、夢心地でくしゃみをしたとたんに入れ歯が口から飛び出し、自分のくしゃみに驚いて目が覚めたが、ちょうど下車する駅だったため、落した入れ歯に気付かずに、慌てて電車を降りたという推測が立つのではないかと2人で推理の終着点に辿りつきました。
後日、入れ歯の落し主の存在が気になった友人が、落し物を届けた駅長さんに、入れ歯の行方を尋ねると、実はその日の夕方、お爺さんが一人入れ歯を探しに、隣の駅の改札に現れたそうです。入れ歯の所在を知ったお爺さんは、隣駅の改札まで、入れ歯を取りに来たとのことでした。その時、お爺さんは恥ずかしそうに、その日の出来事を駅員さんに話したそうで、実は入れ歯のメンテナンスのため、電車に乗り継ぎ歯科に向かう途中だったそうなのですが、車中居眠りをしてしまい、くしゃみをして目が覚めたのですが、その時、くしゃみの加減で入れ歯を落したことを気づかずに下車してしまい、そのまま歯科に向かってしまったそうです。入れ歯のメンテナンスに来たはずなのに、大切な入れ歯がないので、受付のお姉さんと歯科のドクターに大笑いされたと照れながら、再度、隣駅の歯科医院に戻っていったそうです。友人からその話を聞いた私は、良い行いをしたと友人を褒め、お爺さんがくしゃみをしないよう、この話題には2度と触れないことにしました。